『デイシフト』

 楽しく話をするなら「アクションの質がすごく良く」て、とにかく人間の柔らかさに挑戦しているような多彩で立体的なアクションは見ていて楽しかった。

 なんだっけな。ちょっと前に体が柔らかい人が足で弓を引くパフォーマンスをしている動画がTVで話題になっていたような気がするんだけど(下の画像みたいなやつ)

 こういうことが出来る人たちがモブの吸血鬼役として出演し、上半身を磔にされた状態で体を捻り、足の指で包丁を取り攻撃してくる。とか、そういう曲芸的なアクションを見せてくれる。冒頭で結構長く壁や天井を駆使して動き回る軟体ババアとの対決が長く続くので、これ一点集中で戦闘の質は落ちていくんじゃないか。と思ったけど、意外とそうでもなかった。もちろん、主人公の旧友がマシンガンを持って現れた最終局面においてはもうそんな格闘シーンは消えますが。

 個人的MVPはなんかサブキャラとして使うのかな? と思っていたけどそんなことはなくそれ以降出番が本当になかった「なんでも共有するので口の中に入れたガムも共有する双子VS軟体吸血鬼の集団」かな。弾くれ。で一発だけ投げる双子を見よう。

 じゃあ悪かった話をするとそれ以外全部なんですよね。物語は「規約違反を繰り返し組合から追放されている吸血鬼ハンター(実力はある)が主人公が、規約を守るために派遣されたマジメくんとタッグを組み、吸血鬼を倒す」というテンプレートなあれなんだけど、吸血鬼ハンターが規約違反を繰り返す男として描写されてるかと言えばそうでもないし、そもそも規約自体がふわふわしてて前提として共有されていない。あとから言われてもなあ……感じがある。マジメくんは基本的にションベンを漏らすことしか仕事がない。キャラが立っていた双子はもう二度と出番がない。

 あと戦闘以外のアクションは普通に質が悪い。カーチェイスで追いかけてくるバイクがだいたい全部事故で爆発する。狭いところを通って主人公の車に迫ろうとするバイクが普通に主人公とは関係のない車と衝突して爆発するし、目の前に明らかにあるジャンプ台でジャンプして橋にぶつかって爆発するし、普通に前方不注意で爆発する。仕組まされたって感じではなく、単純に事故ってた。

 話もテンプレートそのものなので別に悪いってわけではないんだけど、盛り上がるようなポイントも特になく、悪いってわけじゃあないんだけど、別に良いってわけでもないんだよなっていう一番困るやつだった。

サメとゾンビと空伏空人

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