『アーミー・オブ・シーブズ』
あの、『ドーン・オブ・ザ・デッド(リメイク)』『300〈スリー・ハンドレッド〉』の監督にして、『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』によって彼が面白い映画をつくるには200分以上必要なのではないか? という意見が浮上したザック・スナイダーがNetflixで撮った『アーミー・オブ・ザ・デッド』の外伝映画である。
ちなみに『アーミー・オブ・ザ・デッド』はOP映像の面白さがスゴいが、それ以降のつまらなさもスゴい。Netflixに加入している人は観てもいいかもしれない。『ゾンビだらけのカジノに残された大金を強盗する!』という、絶対面白いやつのはずなのに、期待したものを悉くお出ししてこないミラクル映画なので……。
それの外伝映画である。売る気だったんだろうな、この映画。という気持ちになる。
ちなみに、この映画の監督はザック・スナイダーではなく、主演の金庫の鍵開け師を演じるマティアス・シュヴァイクホファーである。不安だぜ!
鍵開け師の主人公はyoutubeに天才金庫制作者の話を投稿する。すると「腕試ししてみない?」というコメントがつき、誘われるままに「鍵開け師たちが一斉に金庫をあけて誰が一番最初に開けられるかを競う『賭け開かずの金庫開きまくりSP』」に参加することになる。ちなみにこの賭け金庫開け競争。話には今後一切関わってこない。なんかあった野良試合である。なんなのあれ? 知らない。
そこであっさり優勝した主人公は銀行強盗系の映画としてはありがちな「特殊技能を持つ人たちが集まり、銀行強盗計画を画策するやつ」をする。主人公の役割は難攻不落の天才金庫制作者のつくりだした最高傑作金庫を開けること。
集められたメンバーは5人。
鍵開け師(主人公)→キモいオタク。どれぐらいキモいかと言うと、勝手に好きになった相手に付き合っている人がいることを知ると「裏切った」と言いだす。
手先が器用なスリ師→彼女のスリ技術が活用されたのは一回のみである
なんでもハッキングできる天才ハッカー→もうこいつだけで良い
肉体派、リアルスーパーヒーロー→主人公が好きな女の彼氏で追放ものの勇者枠
凄腕運転手→そもそもカーチェイスシーンがないので、彼の出番はアクセルとブレーキを踏むだけ
凄腕運転手があまりにもかわいそうでは?
しかも難攻不落の天才金庫制作者のつくりだした最高傑作金庫は、普通に銀行で使われているので、開けようと思えば普通に開けれるし、開けたところで出てくるのは普通に預金なのである。盛り上がらねえ!
元々本編である『アーミー・オブ・ザ・デッド』も一応は銀行強盗の話であり、『天才金庫制作者のつくりだした最高傑作金庫に挑戦する機会を得て興奮している変人鍵開け師』というキャラ付けをそのまま拡張したような話なんだけど、あれは「たったそれだけのことで、ゾンビはびこる危険地帯に飛び込める変人」というキャラクターイメージを出すためのものであって、『天才金庫制作者のつくりだした最高傑作金庫』自体に魅力があるわけではない。実際鍵開け師がやることは耳を澄ませながらホイールを回すだけで、盛り上がりに欠ける。
まあ、あと一番の問題は「ゾンビ映画の外伝なのにゾンビがでない」ことだろう。ゾンビパニックが海の向こうで起きてるんだって。というのはちまちま話すし、主人公がなぜかゾンビに襲われる夢をよく見るが、それが話に関係してくることはない。もしかしたら『アーミー・オブ・ザ・デッド』シリーズ自体、ゾンビには興味がなくて、金庫破りと銀行強盗をしたかっただけなのかもしれない。それなら『アーミー・オブ・ザ・デッド』のゾンビの扱いの雑さも理解できる。できてしまう。なんて悲しい話なんでしょう。
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