『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』

 海外映画は吹き替えか字幕かは映画好きが時折喧嘩を始めるほど重大な議題のひとつだ。

 字幕の方が本来の演技を感じることができるだの、吹き替えの方が文字を追うリソースを映像を感じることに割けるだの、『シャザム!』の吹き替えは福田雄一が演出しているから見るなだの(俺は吹き替えで観た。ごっつい体格から菅田将暉の声が出てきて笑った)色々ある。そこでこの映画である。『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』。『元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件』よりもこういう今流行っている映画に乗っかかろうぜ! っていう邦題の方が怒られるべきなのではないか。完全に『ゾンビ』の流行に便乗した映画『ZOMBIE 2』を『サンゲリア』と名付けたきみはいずこに。

 携帯が昔から大好きな主人公が、壊れてしまったスマホの代わりに新しく買ったスマホのAI(siriみたいなやつ)がまるで自我でも持ってるみたいにあれこれ勝手な行動を繰り返し、主人公は振り回されるが、結果的に友達もできてやりたい仕事に就くこともできた。好きな女とも良い感じになってきたけれども、まさかスマホAIが主人公を好きになってしまい、暴走を始めるというリブート版チャイルドプレイのコメディ版みたいなやつである。

 なんで字幕吹き替えの話をしたかと言えば、この映画の主人公は杉田智和でヒロインが竹達彩奈で恋するAIが花澤香菜だからである。アニメオタクか?

 いや、アニメ以外でも活躍しているのは知っているけれども、この3人を集めてるのは明らかにアニメオタクでは? もしかしたらまた福田雄一かもしれないと思って確認したけどそうではないらしい。人生、福田雄一かどうか調べる日が多すぎる。

 

 やっぱりアニメオタクな気がする。

 まあなので、吹き替えで観ると花澤香菜が「ちんちん」だの「ファックして」だの「チンチンボールテロね」だの「タマをなぐって6」だの「チンポの頭がポンポンポン」だの「激しくオナニーして寝る」だの下ネタをめちゃくちゃ言って杉田智和を困らせる構図を眺める形になってしまう。

 字幕版で聞くとスマホAIの声はsiriをちょっと低くしたような機械合成女性声だったので、このキャスティングはイメージと違うのではないか? という疑問がわく。やはりオタクだったのでは……?

 まあ、なんというか。この映画を俺はかなり笑いながら観ていたんだけど、この面白さの八割ぐらいは吹き替えが杉田智和と花澤香菜だから。という点がかなりあると思う。映画に対して実直ではない楽しみ方ではあるものの、多分この映画は吹き替えで観た方が面白いかもしれない。俺は誠実になりたかった。でも花澤香菜が面白かったんだ……。福田雄一を警戒しておきながら、勇者ヨシヒコは好き。人間は時として自分の感性から目をそらす必要がある。

サメとゾンビと空伏空人

ライトノベル作家、空伏空人の個人サイトです。お仕事依頼など受け付けてます

0コメント

  • 1000 / 1000