『キラー・メイズ』
旅行から帰ってきた主人公は、家の真ん中にでっかい段ボールの家がつくられていた。それは同棲相手が「とにかくなにかをしなくちゃ!」という焦燥感からつくりだした段ボール迷路だった。それだけならなんとも情けない話で終わるんだけど(30代のおっちゃんだからね)、なんとその迷路は入ってみればミノタウロスが徘徊する巨大迷宮に様変わり。動く折り鶴に、口から紙くずを噴く巨大顔面、そして首をちょん切る斧トラップ。30代無職がつくった巨大迷宮は一度入ったら出られない死の迷宮と化したのである!
段ボールでつくった迷路が巨大な迷宮と化して、中は手作り段ボール殺人トラップがたくさん! というあらすじをどこかで聞いたことがある人はいるかもしれない。俺もどっかで聞いた覚えがある。二年ほど前に公開された予告編の再生回数(423万回再生)を見る限り、どこかで受けてたんじゃあないかな。
ちなみにこのチャンネル内で話をすると、キラーメイズの予告編動画は『スパイダーマン:ホームカミング』以下、『実写版 ライオンキング』『松たか子が歌うレディゴー』以上である。『実写版 ライオンキング』観たいんだよな。映画館に行って予告編を観た限り、すごいディスカバリーチャンネルだったから。まあディズニーだからどうせディズニー+でしか観れないんだろうけどな!!(レンタルなら普通に観れます)。
やってることはグロテスクスプラッタ映画なんだけど、血は一切でない。流血の代わりに紙吹雪に変わるから小さな子供でも安心して観ることができる。ポップなホラーコメディの入門にちょうどいいかもしれない。そんなジャンルに子供を陥れていいのかは別問題である。
かなりバカ映画なんだけど、見せ方というか、カメラワークがとても上手い映画だったね。そもそもドキュメンタリーを撮ろうとしている(よくよく考えるとなぜ?)三人組が登場人物にいて、彼らがカメラワークにこだわっていることから自然とそういう目で見るようになったんだけど、例えば騙し絵の部屋とか、ひとつひとつが遠近感でそこにあるように見せていることをちゃんと見せていて、かつ、絵的に面白いユーモアも見せてくる。カートゥーンのノリが近いかもしれない。扉がたくさんある廊下を右から左から飛び出すあれ。
管を通れば段ボールでできた人形になって、それを本物の人間が演じる巨大な(本来は通常の人間サイズだが、主人公たちが人形になることで巨大なものとして見せている)ミノタウロスに追われたり。相当視覚的に面白い見せ方をする映画だった。巨大な手作り段ボール迷宮っていうのも楽しいものだしね。段ボール迷宮を一発ネタとして消費せずに、段ボールガジェットを何個も見せて人を飽きさせず、ちゃんと1時間半以内に終わっている、かなり出来の良いおバカ映画だった。
俺が好きなのは主人公ふたりが部屋で話しているシーン。ふたりの服や背景の家電がちょっとずつ段ボールに変わっていくのが好き。
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