スパイラル ソウ オールリセット
そんなわけで『スパイラル ソウ オールリセット』である。言わずと知れたSAWシリーズの最新作。まだやってたんだ。と言われかねない。なんなら一度『アバター』の人気にあやかってなぜか3Dになっていた『ソウ ファイナル3D』で一度完結しているけどこの前『ジグソウ:ソウ・レガシー』で復活した。ジグソウ死んでからの方が長いんじゃあねえの、このシリーズ。
ソウと言えば、よく分からない無駄に凝った殺人装置の数々が有名だろう。シリーズを経るたびに、妙に豪華になっていくあれだ。元々が「命を粗末にする者に、その大切さを教えるため」という体で行われていたゲームだったものの、後半になるにつれ――というか、ジグソウが死んで後継者たち(いっぱいいるのでレアリティが低い)がゲームをするようになってから――『人がいっぱい変なゲームで死にマース!!』という趣きが非常に大きくなってきて、さながらエブリスタのデスゲームもののようなスピード感とパーティ感にあふれた遊園地のアトラクションみたいになりつつあった。元気に明るく楽しく、今日も人間をよく分からない拷問機械で殺すぞー。
しかし今回はわりと、1作目のソウに原点回帰しているような趣があった。警察が拷問によって殺され、ジグソウの跡を継ぐ者と思われる人間からの犯行予告が続く。殺されるのはみな、悪徳警官ばかり……。ジグソウの後継者は誰なのか、次に狙われるのは誰なのか。こいつの目的はなんなのか、冒頭ちょっと登場してからあとは最後の方まで登場しないサミュエル・L・ジャクソンはなんだったのか。過去回想シーンで急にヒゲを生やしたのは色気づいたからなのか? そんな謎と共に進行されていく。まあ、もっとも。謎自体はすぐに分かる簡単なものだったんだけど。だって携帯を○○するし、明らかに○○○○だし、赤ん坊の泣き声も○○○○だったじゃん。さすがに分かるって。あと「クライムサスペンス」風味にしたせいか、あるいはジグソウが死んで「命を粗末にする者に、その大切さを教えるため」という前提が消え、「ただただ悪いやつを暴力で殺したい」が全面に出てしまっているためか、後継者が、すごい無駄に手の凝った方法で殺人を繰り返す人になってしまっているのはちょっと残念だった。やっぱりこのシリーズ最大のミスはジグソウを殺したことだと思うんすよ。
そんな感じで、原点回帰しようとしている、あるいはちょっと意識が高まっている感じのするソウシリーズ最新作であった。俺がこの映画で一番好きなゲームは「一定間隔でガラスの破片が飛んでくるので壁に隠れてやり過ごしながら人を助けるゲーム」。本当にミニゲームみたいで笑った。
作中でみんな大好き糸鋸はでてくるけれども、それで足を切り落としたりする展開はなく、鍵を手元に持ってくる棒程度の役割しか果たさないよ。なんだったんだろうね。あれ。
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