映画『バッド・トリップ どっきり横断の旅』

 高校の頃好きだった女と再会して、彼女が画廊を開いているというニューヨーク目指して旅をする。そんな彼らを追いかけてくるのは、刑務所から脱獄した暴力的な姉で。

 といった内容の単純明快な映画なんだけれども、この映画の特徴は「映画のひと騒動に巻き込まれる一般市民」は全てドッキリによって賄われているということである。

 つまり、遅刻しそうだから家を飛びだし、人の家の窓ガラスを割りながら走る主人公に驚く人も、主人公たちが喧嘩したときに仲裁にはいった人も、ミュージカル映画のノリで絡んだら蹴りを入れてきた人も、死にたいと言う主人公を諭す軍人も、「いつ甘い雰囲気からエロいことに切り替えていい?」という質問に「30分」と答えたババアも、脱獄した囚人を逃がした人もみんなみんな一般人なのである。なので普通の映画の、なんなら別に面白いともならないような凡庸な描写も全部「巻き込まれている人、マジでビックリしてるんだよなぁ……」という部分で笑いを誘われる。

 個人的に好きなのはパトカー盗まれるドッキリのときの一般人、嘘をついて囚人を逃がした一般人。盗難車で事故ったと言った主人公に対して「警察には黙っておくから」と言いだした一般人が好き。全体的に警察にたいしての信頼度が低い。黙るな。通報しろ。

 あとは殺してやると喧々している姉に対して「いいぞ、やっちまえ! 私は応援しているよ!」とタンカをきったおばさんも好き。なんて喧嘩好きな国なんだ。アメリカ。

 ドッキリ自体の品は「ネトフリオリジナルだよ」と言えば分かるぐらいかなり下品な類(ちんちんと酒とヤクと暴力と差別しかねえ)で、それでもいいよって人なら見てみてもいい。二倍速ぐらいして

サメとゾンビと空伏空人

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