映画『アトラクション 制圧』

 ロシア製の宇宙人とのファーストコンタクトもの。地球に落ちてきた宇宙船から出てきた宇宙人と、宇宙船が落ちてきた事故により友達を失った女の恋愛ものでもある。物語の進行上、友達が死んだ理由は特にないので、友達はわりと死に損である。

 しかし思い返してみると、宇宙人側は特になにもしていない。宇宙船を撃ち落としたのは人類だし、宇宙人が死にかけたのは地球人が攻撃してきたからだし、不時着した宇宙船にバットと火炎瓶を構えて攻撃を仕掛けたのは地球人である。

 登場人物たちが感情表現として持ち合わせているのが喧嘩しかないのではないか。というぐらい、二口目には喧嘩を始める。後ろから石が飛んできたから振り返って視界に入っていた人間(こいつが投げたわけではない)に即殴りかかる人類。本当に喧嘩っぱやい。主人公も父親との間に色々問題を抱えているせいで、宇宙人を軍事基地に連れてきてすることが「お父さんはいつも私の言うことを聞いてくれない」という喧嘩である。そもそも「私の言うこと」自体を話していないので、聞くこともできないのである。そりゃあ宇宙人も「人類は喧嘩しかしてない野蛮人なので地球に近づいてはいけない」とか言いだすよ。

 そして主人公は「恋」の主張のためなのか、ことあるごとにキスをする。帰り際にキスをするし、去り際にキスをするし、軍人に捕まったらキスをするし、元カレがキレて宇宙人をボコ殴りにしてたらキスをする。どうにもこうにも、過剰摂取な点が非常に多い映画である。宇宙船のデザインなどは良いものの、登場人物に感じる「一旦殴るのをやめろ! 大人だろお前ら!」という感情と、出てくる登場人物半分以上要らないなどの問題点がわりと多い映画であった。

 この映画を観て俺は喧嘩する人間が嫌いなのだと再認識したよ。どっちが正しいとか間違ってるとかそれ抜きにして、唾飛ばしながら喧嘩してるやつ、どうしても、好きになれない……。

サメとゾンビと空伏空人

ライトノベル作家、空伏空人の個人サイトです。お仕事依頼など受け付けてます

0コメント

  • 1000 / 1000