アンダルシアの犬

 最初にある女の目をカミソリで切るやつ、あれ死んだ牛の目を使ってるらしいぜって言いたいから観た。いわゆる娯楽的な映画ではなくて、芸術的なやつなので色々調べてから観た。芸術はちゃんとバックボーンを調べてから観ないと(それがどんな流派であり、その流派がなんであり、どんな流派と似通っていて、反発しているかとか)方々からなんか言われそうだから面倒だね。面倒だと思っているのはお前だけだよ。

 映画の制作者の一人であるダリと言えば、スプーンを持ったままうたた寝をして、手から滑り落ちたスプーンが立てた音で目を覚まし、うたた寝の間に感じた無意識を絵に落とし込むという、夢日記に近い絵の描き方をしていた話を講義で聴いたことがある。スプーンが落ちた音で起きれるなんて、なんとも寝付きの良い人間がいたものだ。

 映像にしてみると「夢日記」的というか、「無意識の発露」みたいな感じは分かりやすいな。と思える映画だ。デロデロに溶けてる時計を見ても「無、無意識……?」ってなるからな。まあ、なんていうか。芸術ってやつは言ったモン勝ちだよなあという気持ち半分。アンダルシアの犬を観たことがない人でも、カミソリで女の目を切るのは知っていたりするから、なにかしらのものがあるのだろうという気持ち半々。傑作だと言うつもりはないが、まあ、良いもん観たのかもしれない……。というやつだった。(ところで、ウィキペディアを読んでみたらこれが初めて上映されたときにいたらしい観客がだいたい芸術家だったので「これだから芸術家はよぉー!」って声が出た)

サメとゾンビと空伏空人

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