マザー!

 『マザー!』

 原題も邦題も『マザー!』

 本国で上映されたところ観客からの批判殺到でシネマスコアで過去20作品しか取っていない(現在は22作品。2020年に2作出た。豊作だね)スコア「F」を取ったことから、日本での公開が中止されたというなんとも不思議な映画である。僕は個人的には結構好き。多分キリスト教徒じゃあないからかもしれない。

 内容としては、人里離れた場所で暮らしていた主人公と夫の元に、なんか知らない人がやってきて、知らない人が泊まって、知らない人が知らない奥さんを連れてきて知らない奥さんと泊まって知らない奥さんが「子供欲しくないの?」と言いだして知らない息子がやってきて知らない息子が知らない息子に殺されて知らない息子の葬式を家ですることになって知らない人がたくさん集まって知らない人が勝手にセックスして家の壁や天井を塗りたくって知らない人が台所を壊して子供が産まれて夫が詩を発表して知らない人が家を訪ねてきて知らない人がトイレを勝手に使って知らない人が勝手に寝て知らない人がパーティを始めて知らない人が盗みを働いて知らない人が家を壊して知らない人が人身売買のための知らない女を牢に閉じ込めて知らない人が暴動を起こして知らない人が知らない人を捕えて殺して知らない人が戦争を起こして知らない人が宗教を始める。とにかく知らない人が家で勝手に気ままにやりたい放題する話である。

 舞台はずっと家の中だけなのに、どんどん崩壊していくから、同じ光景を見ているとは思えない気分になってくる。家に知らない人がたくさん来ると、イヤだなぁ~~~~~~~~~~。

 しかしどうも、スコア「F」に認定されるような映画には思えない面白さが普通にあって、なんでだろうねえ。と思っていたら、どうもこの映画は『旧約聖書』と『新約聖書』をなぞらえているらしいのである。そういえば子供を担ぎ上げている知らない人たちが「ハレルヤ!」「イエスを讃えよ!」って言ってたな。いっちゃってんじゃん。

 つまりこれが「F」になった理由は、宗教上の理由であった。ということだ。まあ、それを前提にして観てみると、結構コケにしてるからなこれ……。

 マザー! を観るときは、キリスト教について全く知らない状態で楽しむも良し。「母なる大地と創造神」「アダムとイヴ」「カインとアベル」「罪なきキリストが磔刑に遭う」「愛と赦し(愛し、赦さないといけない)」「キリストの血肉であるワインとパン」あたりを知った上でケラケラ笑うのも良し。そういう感じの映画である。敬虔なるクリスチャンの人は、まあ、Fをつけるのも仕方ねえのかもしれねえなぁ……。

 外国映画の「特に軸を説明することなく、『でもお前ら知ってるよな!』みたいな面して歩いている」やつ、だいたい聖書の話してるよね。なろうテンプレみてえだな

サメとゾンビと空伏空人

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