シン・仮面ライダー

 まあ言うまでもないんですけど、俺はフィクションが好きなんですよね。○○《フィクション》。○の中に入る漢字はひとそれぞれだと思うんですけど。虚構とか嘘とか作り物とか創作とか。俺は面倒なのでカタカナ表記でいきますが、人は好きなように当てはめたらいいです。俺はフィクションが好きなんですよ。当然ですね、小説書いてるんだから。「事実は小説よりも奇なり」とか言ってるやつはフィクションを信用してないか見たことがないか触れてない人間のいずれかでしょう。なにが奇なりだ事実現実はフィクションのために歪め。本作はフィクションを信じてフィクションを優先したようなそんな作風になっていた。仮面ライダーというフィクションがあって、それが現実にいる。その時、現実はフィクションのために歪むのだ。人は殴られても爆発しないが仮面ライダーのパンチ力は十五トンぐらいらしいので、そんなパンチ力で殴られたら当然爆発するのである。爆発したら血が飛び散るのである。フィクションなら吹っ飛べばいいんじゃあない? いいや、フィクションは現実にいるんだから、現実は無視しない。でも現実はフィクションのために歪んでもらうのだ。

 あと個人的にはセリフ回しが良かった。全員に特徴を持たせて、その個人の思想をそのまま口調や口癖にしているから、どういうキャラクターなのか分かりやすい。なんなら、目をつむっていたってセリフだけをまわしていてもシン仮面ライダーは問題はないかもしれない。理解しきることはできなくとも、困ることはなさそうだった。

 話のつくりが本当に「フィクション」に素直だった。フィクションはそこにあって、フィクションを存在させることに真摯である。好きだからやった。ではなく、好きだから実現させた。それはきっと普通にやるより面倒くさいことだ。だって好き勝手ではないのだから。この絵をつくるためにはどうしたらいい。この絵を存在させるためにはどうしたらいい。フィクションだからこそ発生するトンチキの匂いをどうする。この映画は匂いを全然消さなかった。俺はそれも含めて好きだ。

サメとゾンビと空伏空人

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