『嘘喰い』

 すげえたまたまなんだけど、妙に下ネタがある映画を映画館で連続で観ている。うんこの次はちんこである。こちらは別にちんこを連呼するわけではなくキンタマを握ってキンタマを撃つだけなのでまだ潔い。

 皆大好き嘘食いの実写化である。範囲としては佐田国のあたりまで。かなり原作に忠実につくられているものの、佐田国はテロリストではなく、世界平和を望む元科学者という設定になっている。

 キャラクターの見た目デザインは結構原作に寄せられていると思う。まあ、そもそも原作が原色バッキバキピンクカラーヘッドとかがいたり、バーソロミュー・くまみたいなすげえ体型のやつがいたりするわけでもないので、寄せやすい類だからというのもあるだろう。ところで昔、金髪キャラを茶髪でだしてきた映画があったんですよね。日本人の場合、白髪ぐらいまでが限界なのかもしれない。


 この映画は上映される前に「カリカリ梅を食べずにハーモニカを吹くところになっていたところを元に戻した」という演者のキャラ愛感じる話(映画自体にはなかったのかもしれない)が話題になったが(オタクは原作愛があると喜ぶ生き物です。ちょろいですね)、佐田国がテロリストではなくなっていたり、マルコがジビエの料理人になっていたり、蘭子の年齢が10歳ぐらい若返ってツンデレヤンキーになっているところとかもどうせだったら戻してほしかった。

 あと、めちゃくちゃ「嘘が食べたい嘘食いさん」みたいになってるところとか。「喰ってやったぜ、あんたの嘘」じゃあないんだよ。なんなら「嘘、食えないかも……」とかも言ってた気がする。嘘を食う方が本業になってる。だったらいっそ味について語ってほしかったが、語るのは最初の一回だけだ(めざましテレビで紹介されてたシーンですね)。


 佐田国がテロリストではなくなったことで、全体的に『暴』のシーンが無くなっているのも特徴だ。ロデムはいたものの、ワイヤーアクションを一回したきりであとは普通に走って追いかけてくるぐらいで、佐田国がテロリストではないから、ハングドマン戦ではマルコの出番はなく、レオの出番もなく、伽羅は出てこない。

 號奪戦もそれに準するシーンはあれども、なんか求めてたのと違う。佐田国を助けようとした目蒲鬼郎が普通に負けて普通に死ぬ。じゃあハングドマンで首吊るところはどうしたの? 佐田国の近くにずっといた拳銃を出すのが仕事の女がなんか一緒に吊られたよ。

 テロリスト設定が削られたことにより、嘘喰いの楽しみのひとつである暴パートが消えてしまっていることが、今作で一番悲しいところかもしれない。

サメとゾンビと空伏空人

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