『バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』

 世界で一番売れたゾンビ映画は「ワールド・ウォーZ」だけれども、世界で一番売れたゾンビ映画シリーズとなると「バイオハザード」に軍配があがる。世界で一番有名なゾンビゲームの実写化にして、主人公はまさかのオリジナルキャラという、よくよく考えてみれば、よく世界で一番売れたな……。と思うシリーズである。ぼろくそ叩かれるでしょ、実写化で主人公オリジナルキャラクターでゲームキャラは端役。

 ちなみに拙作の『アリス・イン・ゾンビーランド』のアリスはバイオハザードシリーズの「アリス・アバーナシー」から取った名前です。このブログを覗いているような人なら、もちろん読んでいると思いますが……。



 そんなわけでシリーズ最新作にしてリブート版、アリス・アバーナシーのいない世界線の映画がこの『バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』である。

 シリーズ最新作。とされているけれども、今作と今までの作品はまるで関係がないので、今作から見てもOKです。というか、今作から見た方がいいかもしれない。という理由は後から話す。

 今までのバイオハザードが「アクションゲーム」としてのバイオハザード(例:バイオハザード7DLC End of Zoe)実写化とすれば、本作は「ホラーゲーム」としての実写化となる。ゲームの方もなにかとホラー方面への回帰が目立つバイオハザード。やはりホラーとしての自覚があったのだろうか。いやまあ、バイオハザード ヴィレッジはアクションゲーム感が強かったですけど。

 バイオハザードと言えばどんなイメージがあるだろうか。明らかに住むことに適していない謎ギミックだらけの家。窓をたたき割って入ってくるゾンビ犬。ゾンビというかもはやモンスターであるリッカー。絶対ここが弱点だろっていうぐらいデカい目。どんな敵相手でも使うハンドガン。コラボ衣装でよく使われているジル・バレンタインの衣装。安心してください。全部あります。

 誰が「ピアノで特定の鍵盤を叩くと隠し扉が開く」をやれと言った。誰が「リールを回すと資料映像が流れだす演出」をやれと言った。誰が「よく分からないところにある鍵穴に鍵をいれることで新たなステージが開放される」をやれと言ったのか。ゾンビ犬は後ろから近づく演出をしていたのにわざわざガラスの方に回ってたたき割って攻撃してくる。自分がゲームの実写化であることを理解している。

 個人的に一番ウケたところはクリスがライターを持っていることですね(クリスはリメイク版で専用アイテムとして「ライター」を所持している)。ゲームで見たことある警察署のロビーだったり、ラスボスがしっかり「ここを拳銃で撃ってください!」とぎょろぎょろした目を用意してたし、なんならそこをちゃんと撃ってたのもよかったですね。本当にゲームの実写化をやるんだ。という意気込みを感じた。登場モンスターや専用アイテムからして、「バイオハザードHDリマスター」と「バイオハザードRE2」が元だろう。パンフレットにもそんなことが書いてある。

 原作を非常に忠実に、ゲームファンが見たら喜ぶだろうなという出来でつくられている本作であるが、その分ちょっとゲーム的だな。と感じるところも多く、また、ちょっとやりたいことが多すぎてラスボス付近の時間がないから巻いてる感。そしてラストのぶつ切り感は否めない。


 あとこれはさっき後で話すと言った部分の話なんだけど、「バイオハザードという映画シリーズはあるし、原作もあるけれども、これは『一作目』としてつくられています」というつくりになっているので、ちょくちょくアンブレラ社が「こういう製薬会社があるんですよ〜なんだかよく分からないんだけど、ちょっと怪しい匂いもしますね〜なんだろうね〜」と顔を出してくる。白々しいまでの「ただのちょっと怪しいだけの製薬会社」アピールが強いのだ。

 もう知ってるねん、おまえらがなんなのか。知ってんねん。初見にも優しい、一番最初の映画なのは分かるけどお前は世界で一番売れてるゾンビ映画シリーズの最新作なんだって。今までのが嫌いなのはパンフレット読んだらちょっと分かるけどさ。そういう気持ちになる。

 だからこそ、「今日からバイオハザードという映画を観てみようと思うんですよ〜」という人には、こちらから見ることをオススメしたい。ミラ・ジョヴォヴィッチが見たい。アクションが見たいって人なら前シリーズ。

サメとゾンビと空伏空人

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