映画『マザーズデー』

 母の日には生首を。なんて素敵な言葉だろう。母の日には生首を。母の日には生首を。花も生首も日が経てば腐るという点において同じことだし、デカい生首の方が感謝の気持ちにあふれているのかもしれない。ポスターのお母さんも笑顔だし、贈った子供たちと思われる後ろのおっさんも笑顔である。もっとも、作中に生首をプレゼントするシーンは特にないし、後ろのおっさんが笑顔なのは嬉しいからというより、キチガイだからである。

 1980年の映画である。スプラッタ映画最盛期である。たくさんの人が人を殺す映画がたくさんつくられた。らしい。1980年代はまだ産まれていない。そんな時期につくられた一作なので、これももちろん、スプラッタ映画である。

 特に話すこともない内容で、被害者枠3人のうち死んだのは1人だけなので、なんだか制作者陣の人の優しさすら感じられる。人殺しに殺されるなんて可哀想。殺されるなら人殺しであるべきである!! 因果応報!!(実際、この映画では殺される役の90%が殺人鬼or人を殺そうと画策していた人である)

 生き残った主人公たちが殺されることになるのも、最終的に人を殺してしまったから。だからだと考えると、なんともなんだか、人の優しい、『人を殺してはいけません』という道徳心を教え込まれているような気がしてくる。さすがにそこまでではないが。

 しかし、明らかに尺稼ぎの多い映画であったが(草むらに隠れて殺人鬼から逃れようとする主人公格と耳を澄ませて主人公格を探す殺人鬼。のシーンとか非常に長い。だいたい2分半ある)、尺稼ぎに慣れてしまって尺を稼がれている。という感覚を失ってしまっているところがある。慣れって恐いね。

サメとゾンビと空伏空人

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