映画『ヒロイン失格』

 邦画には世界で戦うために『アイアンマン』みたいな超絶予算のかかる一大スペクタクル映画を頑張ってつくろうとして「しょ、しょぼい……!」となる結末になる映画よりも、『シグナル100』みたいな雑なデスゲームものの方が大好きなので、世界に誇ってほしいと思っているのが俺なわけだけれども、邦画に求めているものとしてもうひとつ、どこまでも身内ネタ。というものもある。「このキャスト出したら面白いっしょ!」みたいなあのノリである。そんな思いに答えてくれたのがこの『ヒロイン失格』という映画である。

 マジで脈絡もなく桝太一やキングオブコメディや中尾彬が登場する。

 脈絡がないので、マジで急に出現するし誰も桝太一やキングオブコメディや中尾彬には言及することもなく、この先再登場することもなく消える。役柄は桝太一と中尾彬である。なんでそこにいたのか、なぜそこにいるのかは不明である。

 女装して登場する柳沢慎吾には脈絡がある(ヒロインが柳沢慎吾の「あばよ!」のモノマネをするため)のだが、じゃあここに柳沢慎吾を出す必要があるのか? と言われると……ないな。うん、ない。別に出さなくてもいい。出たら出たで柳沢慎吾なので面白い。意味は無いが面白いので良いとする。あと六角精児も出てくる。これも脈絡はある方。

 カメオ出現以外でのオススメは「わざとラーメンこぼしたあと自分の手で拾い上げながら器に戻すイジメを敢行するいじめっ子」である。よく分からない存在なので多分あれはそういう妖怪なんだと思う。なんというか、夕飯時のテレビ番組で再現ドラマをしているとき、キャストに大物が出てきて「おおー!」と驚くSEとともに「なんで出演してくださったんや!?」みたいな声が聞こえてくるやつみたいなノリで進行するので、俺は比較的ゲラゲラと笑いながら観ていた。一応恋愛ものなんだけど、あまりにも恋愛要素自体に興味が湧かなかったので(この構成で恋愛ものとして観ろと言うのですか!?)、恋愛に関してはノーコメントで。良いよ、邦画。このままの君でいて。金のかかった超大作は外国を観るからさ……。


ところでヒロイン(これはこの映画の主人公である桐谷美玲を指す)から幼馴染の男を寝取った六角精児に似ている女、原作デザインが「イメチェン前」「イメチェン後」もどっちも好きだったのでどうしよう……ってなっている

サメとゾンビと空伏空人

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