映画が悪いんじゃあない。前日譚から観てしまった俺が悪いんじゃ『クローバーフィールド・パラドックス』
たまには映画の話もいいかなって思ったのでこの前観た映画の話でもしよう。
パラドックス。という言葉を知っているだろうか。SF読んでたらよく出てくる。意味はよく分からない。すまない。俺はSF用語は気分で理解している。まあつまり逆説とか矛盾とかそういうやつだ。「全知全能は誰にも持ち上げれない岩をつくることができるのか?」とか「『この文は偽である』という文章は『本当』でもあるし『嘘』でもある」とかああいうやつ。そういうのでそういうの。
この映画を観るきっかけはネットフリックスでなんかねえかなあって探していたら
こんなサムネが目に入った。
この手の形。腕が落ちているのではなく、腕が動いているのだな。と分かるこの手の形。
もう見るしかねえなって思ってマイリストに登録して、一ヶ月半ぐらい過ぎた。読みたいと思って買った本を一年過ぎてから読むようにに、映画も大体そんな感じだ。だから積み本のタワーが二つ三つと出来ていくしマイリストにはホラー映画が貯まっていく。ネトフリの場合はマイリストにどれだけ貯めようとも料金は定額なので無駄遣いしている感じがないのでとてもよろしい。
そんなわけで紹介。
映画のタイトルは「クローバーフィールド・パラドックス」
以下注意書き。
空伏空人は映画を観るとき大体顔でキャラを覚えるので登場キャラ名大体覚えてない。覚えてるのはフィンシェパードぐらい。
映画の話をする関係上、結構普通にネタバレをする。重大なところまでは言わないけど、まっさらな状態で楽しみたいならブラウザバック。
あくまでも「観た映画の話」をするだけであって、批評的なやつではない。偉そうなやつを期待するな。
以上
世界のエネルギー資源はもちろん有限で、そろそろ枯渇してやべえぜガソリンスタンド並びすぎだぜ一日に五回は停電するぜやべーぜ。な世界。
人類の偉い人たちは国際宇宙ステーションに科学者を集結させ、粒子加速器みたいなのを用いて半永久発電機関をつくろうとしていた。
調べてみたら加速器駆動未臨界炉とかいう研究があるらしいんだけど、俺は頭が悪いのでよく分からない。
言ってしまえば「エネルギー物資がないからアイアンマンのアーク・リアクターをつくろうぜ!」って話である。だがここはマーベル世界ではない。二年、四十六回の実験を続けてきたが成功の兆しは見えず、地球の方では残ったエネルギー資源を取り合って戦争が起きるしであら大変。
そんな状況の中行われた47回目の実験はいつもと違った。装置は安定していて、これはもしかして成功か!? となった瞬間、窓が吹っ飛ぶわ外が光に包まれるわ重力が反転するわでてんわやんわ! なにが起きたのと外を見てみたらなんとびっくり、さながら銀河ヒッチハイクガイドみたいに地球が無くなっていた。銀河ハイウェイでもつくるのかしら。
自分たちが置かれている状況がいまいち分からず混乱する科学者たち。そんな彼らはステーションの中に響く悲鳴を聞きつける。それは、体と電気配線が一体化して体の中をケーブルが貫通して血まみれになっている「誰も知らない女」だった。
この映画の肝は個人的には「意味分かんねえSFホラー」である。
地球が消えたと思ったら現れた「誰も知らない女」。宇宙ステーションの中だから、外から侵入してきたとかはありえない。というかそもそもなんでこいつ配線と一体化してたんだ? ってなってたら今度はそいつは自分は搭乗者だって言い張るし中にいた中国女は知らないあいつ誰って言うし、でも皆お前のこと知らねえよって言ってたら研究材料のミミズが消えるし科学者の一人の眼が義眼みたいに眼窩の中をくるくる勝手に動きだすし鏡にうつってる自分と会話し始めるし自分の知らないメールと音声ログが存在しているし壁の修理をしてたら突然腕が壁にのまれて引っ張りだしてみたら『産まれたときからなかった』みたいに腕が無くなってるしその腕は自立活動してたし(やったぜサムネシーンだ)やべえぜこれは!
この状況になった理由は実験によって発生したエネルギーによって次元と次元がぶつかりあってカオス状態が産みだされてパラドックス(冒頭に説明したやつ)が実現してしまったかららしいんだけどまあ割愛。SF用語はよく分からん。
まあとにかく「実験によって『実験が成功した世界』と『実験が失敗した世界』が衝突してこんがらがっている」と理解してくれたらいい。なんでぶつかりあったら腕が壁にのまれて片腕を失うんだ。『失敗した世界』ではその失敗で腕が捥げたんだろうか。
しかし面白いことに、この意味不明な現象は『終わってみれば』実験が成功するための道を切り開いているのだ。
どうしてかと言えば。
1.『成功している世界』と『失敗している世界』がぶつかって干渉しあっている。
2.『成功している世界』で『失敗している世界』の事象が同時に発生している。成功しながら失敗している。
3.しかしながら同時に失敗しながら成功しているとも言える。
4.そして登場人物たち、及び乗っているステーションは『成功している世界』の存在である。
5.衝突して干渉しあってるとはいえ、片方が消滅しているなどの事象はない。
6.彼らの帰結は『成功』でないといけない。
という感じだろう。多分。きっと。
こういう説明されない『推察してくださいねー』みたいな事象を説明するのは苦手だ。なにせ、間違っていたときすげー恥ずかしいから。
さてそんなカオス状況は前半でなりを潜める。というかそんなものなかったと言わんばかりに後半は「ちっさー」みたいなものが起きるか宇宙でなんかするよSFホラーでよくある展開が続く。つまり銃持ってるやつが皆を殺しにかかったり宇宙だと水って凍るんすよ現象だったり皆を助けるために俺は自らを切り離すぜ! な展開である。俺ァミミズ吐き出すやつとかが好きだったけどなァ
でもまあそんな感じでわりと面白い(が前半のノリが一番好きだった)映画だった。
しかし、私はまだ気づいていなかったのである。
この映画のトラップに。
そう。
この映画。
なんと。
『シリーズ三作目』にして『一作目の前日譚』なのである!!!!!
騙された!!(誰も騙していない)
ネットフリックスさんに言いたいのは「シリーズ三作目」とかそういう情報をどこかに入れておいてくれってぐらいだろうか。いや、三作目ならさすがに分かるだろう。と言われそうだが、前日譚だから意外と普通に見れてしまうんだ。これ。
ただ、最後が「遊星からの物体X ファーストコンタクト」と同じようなもの――つまり、前作を見ていたらニヤリとできるけど、見てないと(え、なに。意味分からない。感じろエンド……?)ってなってしまうやつなのである。なんで犬追いかけてんのこいつらってなるのである。ちなみに私は「遊星からの物体X」も続編で前日譚であるファーストコンタクトから見ている。そういう呪いでもかかっているのだろうか。
そんなわけで『クローバーフィールド・パラドックス』
タイトルにも続編感ないから、皆も騙されずに『クローバーフィールド/HAKAISYA』から観ようね。こっちはゴジラみたいな怪獣パニック映画らしく(全然違うやん……本家ゴジラとアニゴジやん……)とか思ったけどそれは内密に。
ちなみにこの映画、ネットフリックス限定である。
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