今年読んだり観たりした本や映画の話をしようじゃないか

 実はYouTubeでたまに配信をしていて(定期的にやる気がでて、定期的にやらなくなる)、毎年最後の配信では読んだ本の話をする雑談配信をするんだけど、今年は引っ越しをした影響で配信環境が整っていない(光回線の工事が終わっておらず、今私はWiMAXのレンタルで細々と生きています)ので、ブログにて総括をしていこうと思います。

 下にあるのは去年読んだ小説、漫画のベスト10です。漫画はなぜか11個ある

・小説編


 今年読んだ漫画小説は読書メーター記録だと53冊になる。漫画は2巻以上を登録しないことにしているので、本当はもうちょっとあると思う。年末には「CØDE:BREAKER」と「エア・ギア」の全巻を読み直したりしたしね。

 今年の一番は言うまでもなく、佐藤究の『テスカトリポカ』だった。

 去年か一昨年ぐらいから佐藤究という作家が大好きになって、テスカトリポカは発売日に買った。当時は滅茶苦茶お金がなかったので(今もない。働くことになって給料を知ったとき、いつものギリギリ生活の貯蓄が1、2ヶ月で稼げると分かり世界が恐くなった)、デカい本を買うのはわりと緊張したところがあるけれども、買ってよかった。直木賞を取る前に読めてよかった。取ってしまったら俺の心が読むのを遅れさせていたから。

 川越を舞台とした佐藤究らしい暴力と犯罪とトンチキの小説なんだけど(みんなで読もう、直木賞を受賞した事故現場でご飯を食べることが趣味の、人間を溶かして処理できる体重100キロオーバーの微笑みデブを)、『ホステル』のようなグロッキーR18暴力とはなく、R15+の暴力描写はなんというか、メキシコと川越が舞台の小説ではあるけれども、なんとなく、ロシア映画のような趣きを感じるそんな小説。


『ボギー 怪異考察士の憶測』と『氷室の華』はどちらも、久々にホラーを読んだなあ。という満足感を得られる小説だった。


『ボギー』は頭の中に爆弾が! ある男が、その正体を探るために、様々な怪異の情報を集めて、その類似性、特性とかを調査し、正体を考察するというもの。幽霊の正体見たり枯れ尾花というわけではないが、ここではこんな火の玉が目撃されていて、それはあっちではこんな風に描写されている。そしてそれは、そちらで目撃されている宙を舞う子供と同じなのではないか? という風に、郷土資料やお化け話資料をもとに、自らの体になにが起きたのか、怪談の中にある現実を調査していくはずが、宇宙的な与太話に発展していく。

 『氷室の華』は、田舎にあった氷室に咲く華に魅せられた水かきが大好きな男が、氷室に咲いていたあの華をもう一度見るために試行錯誤を繰り返す話だ。この華は勿論天然物ではなく造花なんだけれども(というか人の手なんだけど)、作り方みたいなものを教わってる訳ではなかったので、何度も何度も作り直して、その度に凶行が繰り広げられていく。忘れられない限り、それは続いていく。たとえ中身は違えども、それが「あった」と覚えているものがいる限り、無くなりはしない。篠たまきさんの艶美な文章引き立つイヤな田舎ホラー。そういえば、『ボギー』も田舎ホラーといえば田舎ホラーなので、今年は田舎ホラーと縁があるのかもしれない。俺も書くか、田舎ホラー。近所にあった田んぼ殆ど潰れてレオパレスになったけど。


 今年発売された本ではないのだけれども、『ぼくの映画。 ~学園一の美少女をヒロインにキャスティングしてゾンビ映画を撮ろう~ 』という小説も良かった。


 これは一体どこが良かったの? 面白かったの? と聞かれたら悩ましいところがあって、別に「面白くない!」というわけではなく(そもそもそんな小説を良かったとは言わない)、前にブログで「光の映画」というものについて書いたんだけど(『sing』参照)、この小説は「光の小説」の類と称していいだろう。

 冴えない映画部の面々とクラスの美人が文化祭で上映するゾンビ映画を撮影する話なんだけど、「面白い映画を撮れば、もう万事解決よ!」の勢いで、家庭問題も学校のしがらみもなんでもかんでも映画を撮影して、面白い映画をつくったら解決してみんなハッピー! という、破竹怒涛の小説なのである。

 学校のみんなが意外とノリノリで撮影の手伝いをしてくれたり、面白かったねー。と感想を言っていたのもよかったですね。そりゃ、クラスの美人の影響力もありましたけれども。あ、なんか普通に楽しんでんなこいつら。みたいな。やっぱ、こういう小説を読んでいるときが一番楽しいんすよね。まあ、そういうのってあんまり目立たないんですけど……。みんなで探そう、光の小説。

漫画編

 読書メーターくん、リンクのバナーに変化が欲しい。本棚名とか出るようにしてほしい。

 さて、今年一番ハマった漫画ってなんだっただろうと考えたら多分『古見さんは、コミュ症です。』かもしれない。
 友達100人つくることを目標としておきながら、2年生になると友達をつくる速度が一気に減り、ひとりの男のケツを追いかけるようになる古見さん。本当に友達100人つくるつもりがあるのだろうか。23巻時点で友達100人よりも先に彼氏1人を獲得してしまった古見さん。きみは一体どこにいく。
 古見さんは友人帳というものをつくっているんだけど、21巻時点で40人ぐらい名前が書かれているらしい。一回ボーリングしたギャルや「アメリカに留学したどちらが先に友達100人できるか勝負している小学生がアメリカでつくった友達」とかは記帳されているのに、一年からの知り合いや二年の同級生の記帳率の低さから、古見さんはわりと選り好みをしている節がある。でも友達は選ぶものだから仕方がないよね、古見さん。
 俺が好きなキャラは「クラス替えにより登場回数がエグいぐらい減ったキャラが多いなか、田舎に行けば会える同級生という立場を獲得した田舎女(友人帳に記載されていない可能性が高い)」です。
 『イジらないで、長瀞さん』もアニメを見て読み始めた漫画だったね。長瀞さん、多分今期で一番可愛いヒロインだと思うよ。

 ツイッターで見た漫画だね。
 ツイッターで見たから読んだ漫画だよ。
 HEY! SHOCK! THANK YOU! という小気味良い掛け声と関西弁のノリで語られる学校の百七不思議とか、別にそんなの関係ない小さな殺人鬼とかちゃんと育てると妹になる虫とかなんか知らんオカンとか謎の生き物だったりとか、そんなんの話が繰り広げられる。あとたまに死ぬ。死ぬんか。ホラーやしな。
 これは編集氏から勧められた漫画。絵力が強くてびっくりしたよ。なんか参考になるかもしれないね。という指令のもと読んだけど普通にいまは全巻買っている。原作も買ったので、読んで見比べたりもしている。ショタが内股であるという宗教的な対立が起きることがままあるけれども、面白い漫画だよ

映画編


 一応俺も映画をネタにした小説を上梓したものなので、今年見た映画の話もしておこう。


 今年観た映画は212本。今年初めに観た映画は『スターウォーズ 最後のジェダイ』、最後に観た映画は『Gガール 破壊的な彼女』になる。さすがに今日は観ないと思うし。

 Filmarksの星を基準でランキングをつくると

 今年上映された映画で面白かったやつベスト5

1.『ラストナイト・イン・ソーホー(エドガーライト)』☆4.5
1.『アイの歌声を聞かせて(吉浦康裕)』☆4.5
3.『ハロウィンKILLS(デヴィッド・ゴードン
・グリーン)』☆4.0
3.『CUBE 一度入ったら最後(清水康彦)』☆4.0
3.『ホムンクルス(清水祟)』☆4.0
最下位.『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド(園子温)』☆1.5
『アーミー・オブ・ザ・デッド(ザック・スナイダー)』☆1.5
『アーミー・オブ・シーブス(マティアス・シュヴァイクホファー)』☆1.5

『ラストナイト・イン・ソーホー』はエドガーライトの持ち味である「徐々に迫り来る奇妙」「音楽との融合」「地味に上手い伏線回収」などが組み合わさった上に、映像の見せ方がすごいよくて、エドガーライトの新しい代表作になるんだろうな。という作品なんだけど、B級的な雰囲気は払拭されているので、過去のスリー・フレーバー・コルネット3部作とかのコメディが影薄くなりつつあるので、またああいうのもつくってほしいよエドガー・ライト

 アーミーシリーズは、作品自体がダメだった挙句、「この映画に使われた技術はこれだけすごいものなんです」っていうドキュメンタリーまでつくっていたところが、「規定枚数に収めることもできない上に、なぜか設定資料集も同封されてる新人賞応募作」みたいな強さがあった。
 おしくもランキングには入らなかった作品には、『ミラベルと魔法だらけの家』☆3.5や『かぐや様は告らせたい 〜天才たちの恋愛頭脳戦〜 ザ・ファイナル』☆3.5『スパイラル ソウ・オールリセット』☆3.0『ブラッド・レッド・スカイ』☆3.0などがある。全体的に、よく擦ってる映画ばかりで今年も良い映画に満ちてましたね。

 今年上映されたではなく、今年観たにすると
『ロボコン(古厩智之)』☆4.5
『ホラーエクスプレス ゾンビ特急地獄行き(ユージニオ・マーティン)』☆4.5
『ロシアン・ブレイカーズ(イゴール・バラノフ)』☆4.5
『AWAKE(山田篤宏)』☆4.5
『マザー!(ダーレン・アロノフスキー)』☆4.5
あたりが記憶に残っている。こうしてみると、邦画も洋画もバランスよく観れたような気がする。
 ドラマだと『イカゲーム』ですね。みんな見てる、イカゲーム? 策略とか駆け引きとかそんなことまったくせずに純粋にデスゲームを楽しむプレイヤーと、ひとりひとりちゃんと銃で撃ち殺して棺桶にも入れてくれる手作業の温もりに溢れる運営が繰り広げるデスゲーム概念ドラマなので、ネトフリ入ってるなら見た方がいいですよ。貧乏人が殴り合いをしてる様を眺めるだけで満足して帰る金持ち、ゲームに出資しないでそこらで金をバラまけ。

 そんな感じで2021年の総括でした。
 俺自身としては今年は『アリス・イン・ゾンビーランド(電撃の新文芸)』を一本書いたぐらいになります。あとはちょっとしたブックレットの編集補佐とか……。あれなんで俺の名前が並んでるんでしょうね。ふっしぎー
 水面下でちまちまと原稿や企画書などは書いたり書いていなかったりしますので、来年もなにか出せるといいな。と思っています。働きながら小説書くのは来年が初めてだよ。それでは、良いお年を。

サメとゾンビと空伏空人

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