映画『マネー・ピット』

 マネー・ピット。金食い虫って意味らしい。

 原初より、『8時だヨ!全員集合』によって証明されていることではあるけれども、人類は家が壊れると楽しくなってしまう生き物である。8時だヨ!全員集合で一番好きな家の崩壊ってなに。俺は家にパトカーがツッコんでくるやつ

 本来ならば100万ドルらしい家が20万ドルで売りに出されていて、格安じゃん! と言って買ってみたら、階段は歩けば壊れて(以後数ヶ月、階段のない生活が余儀なくされる)、電気をつければ爆発して、食べ物輸送用のエレベーターからはアライグマが飛びだし、ベッドは寝た瞬間に沈み、二話の木は触れば崩れて、蛇口を捻れば泥水。電気をつけたら爆発してコードが繋がっている電気製品全てが壊れる。修理を頼んだ大工は、サーカスをクビになったばかりの筋肉みたいなやつばかり(仕事はできる。良かったね)。

 結果的には割引きされた80万ドル支払ってるんじゃあないか? ってぐらい修繕しまくって、どうにかこうにか100万ドルの家に住めるようになる話(もはや原型はない)。妙に安い買い物は良くないねってことがよく分かる映画だ。

 ものが壊れるたびに一人だとめっちゃキレてる主人公夫婦たちも、ふたりでいるときはめっちゃ笑っているのも良かったね。まあ、後半は夫婦喧嘩が起こるんですけど……家に対してキレているというよりは、家に感じるストレスでキレやすくなっているせいで、相手にキレている。という、ちょっと遠回しな家のせい。になっている。このクソ家が! ではなく、家にふつふつとムカつき度があがり、「水を早く持ってきてよね!」みたいな、相手方への不満が爆発する感じ。なので、家自体は好きなので修繕したあとどっちがこの家に住むか。みたいな喧嘩もする。本当にこの家住みたいか? 苦労して育てた悪童への愛情に近いんじゃあないか。それ。

 でもまあ、なんか最後にはハッピーで終わるコメディ映画なので、家が壊れているところが、見たーい! って気分のときには最適。

サメとゾンビと空伏空人

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